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橋本ゼミ インタビュー課題 2011年度前期

前田 健勇嗣

 

 


 

今からインタビュー企画の発表を始めます。今回私はバイト先の店長の紹介で株式会社マルキタプリン星野笑店の社長である星野勇介さんにお話を伺ってまいりました。この会社は侍のプリンで有名なプリン本舗を展開しています。札幌市内には3店舗あってきた27条にある本店とすすきの、大丸札幌店にあります。まず星野さんがなぜ起業したのか、経歴をお話しながら紹介したいと思います。星野さんは明治大学商学部を卒業後、商社に入社されその後ヘッドハントされたりして、丸海屋エージという会社に呼ばれます。そこで商品開発に携わることになり、北海道中のさまざまな素材に出会うことになり、それが後々のヒントになりました。この後、中国で北海道風居酒屋を展開しようとしていた人と共同で中国で事業を始めたのですが、ある日いなくなってしまい、仕事も金も一気になくなったそうです。そんなときに丸海屋エージ時代に知り合ったパティシエの方から新しいプリンの作り方を紹介され、今からなら飲食ぐらいしかできないと思っていた星野さんはそれで起業することに。札幌の企業支援センターに分厚いレポートを提出して何とか融資を得られることになり、そこから始まりました。

この侍のプリン。星野さんが販売ルートとしてあげたのが、通販やお取り寄せ、そして物産展でした。最初は自前の店舗による販売はしていませんでした。それは、このプリンのターゲットは甘い物好きの男性。札幌市内だけではさすがに多くはいないでしょう。それでも全国に目を向ければ、人口の0.1%でも反応してくれれば10万人です。それだけもファンがいれば十分だとおっしゃっていました。プリンという商材を女性に投げ込めばいくらなんでも当たると。男性を狙うにはちゃんと定めて売らないといけない。だからこそ、来店という形ではなく、手軽に日本全国から注文できる形で流通チャネルを構築していきました。先ほど店舗は3つあるといいましたが、どれも工場がセットで、さらにとてもせまいものになっています。プリンしか売らないし、コストをなるべくかけないようにとの考えからこのような展開になったそうです。何回もいっているこの侍のプリン。最初は俺のプリンという名前で行こうという話しだったそうですが、ストーリー性がつけやすくより男らしい感じのする侍にしたらどうかと友人に薦められ、そちらにしたそうです。

次にこのプリンのおいしさに迫ります。素材は以前の仕事を生かして北海道のすばらしい素材にこだわり、生産者の方と直接契約を結んで仕入れています。さらに製法ではじっくり低温で焼けるオーブンを導入しています。とろとろ感を出すために、卵が固まるか固まらないかのぎりぎりの温度で焼かないといけません。その微妙な温度を安定して出すことがこのオーブンではできるそうです。焼きあがった後、適当に冷やしても余熱によって卵に火が入ってしまい、予想通りのやわらかさが出せません。そこで30分程度で一気に80℃くらいから56度に冷やすことのできる急速冷凍庫を導入し、とろとろのままの状態を維持できるようにしました。一気に冷やすことによって菌の繁殖しやすい温度もわずかな時間で通過することができ、衛生管理も同時に行うことができるのです。このような作り方によっておいしいプリンが出来上がっているのです。

私がびっくりしたのは、このプリンの知名度を上げるのはそれほど苦労はしなかったそうです。星野さんいわく「切り口が面白いから勝手に取り上げてくれた」とのこと。むしろ発売から3年が過ぎさまざまなメディアでより露出が高まった今、急激な商品の売り上げの伸びがきついそうです。今伸びているのは実力以上と考えていて、それを身の丈にあった売り上げに落ち着かせるのに一番苦労しているとおっしゃっていました。反面教師の例として花畑牧場の名前をあげ、ピークにあわせすぎたために実情に合わない設備を抱えることになってしまった。

また、メインの通販もいま何とか軌道に乗り出したそうです。簡単そうに見えますが、受注し、梱包し、発送して決済して・・・という一連のやり方を構築するのがなかなかできなかったと話していました。

宣伝も今はCMではなく番組の中で取り上げてもらうPRという方式が主流のようです。シルシルミシルで取り上げてもらったり、妙に商品しか紹介されない番組もあったりします。そこで紹介するのは、下手にCMを打つより安くさらに効果を上げやすいようです。

今、侍プリンでそれをすると生産ラインが爆発するのでやらないそうです。

最後に感想として、星野さんは食の才能あふれる方だと感じました。料理を食べただけで、どんな素材や調味料が使われているかわかるそうです。商品開発でさまざまなものを食べてきたからこそだと思います。起業にもためらうことなく決めてからすぐに取り掛かり、本当にバイタリティあふれる方でした。

こんなことは僕にはできないと思いますが、商売の考え方や、宣伝の裏話を聞けて大変よい機会になりました。

これで発表を終わります。